ボランティア座談会 Vol.4「ポストコロナとボランティア活動(前編)」

ボランティア座談会Vol.4
「ポストコロナとボランティア活動(前編)」

新型コロナウイルス感染拡大により、世の中は大きく変化しています。ボランティア活動も例外ではありません。
このような社会情勢の中で、ボランティアを取り巻く環境や活動の価値や意義は、そして社会は、どのように変化するのでしょうか
――学生コーディネーターがオンライン上で議論してみました。

聴き手:宮崎/語り手:石川、大貫、藤井 /書記:宮向 聴講:川名

※今回の座談会は、新型コロナウィルス感染症拡大防止の観点から、直接、顔を合わせて話すことができないため、オンライン(zoom)にて実施しました。


新型コロナウイルスであなたの生活はどのように変わりましたか?

石川:私の生活の中には、学生コーディネーターや地域ボランティアプログラムなどのボランティアセンターの活動と、所属している物理学科での学習の二つが大きくあるのですが、ボランティアセンターの活動に関しては、対面の活動は全てストップしています。オンラインでの活動はもちろんできていますが、これまでのように対面での活動を前提に考えていた企画などは、できなくなってしまいました。物理に関しては、現在4年生の私は、例年通りであれば卒業研究を4月から始め、研究室で実験に取り組んでいるはずでした。もちろん、担当の先生の許可があれば大学で実験することもできますが、原則キャンパス内立ち入り禁止のため、元々想像していたような卒業研究はできていません。ひとまず、家で教科書を読んだり、パソコンをいじって計算したりしています。誰かと一緒に勉強や議論しながら物理をするのも好きなのですが、そういうことができないので寂しく感じています。
宮崎:例えばどのような企画を予定されていたのですか?
石川:春に地域ボランティアプログラムの活動の一環として、牧野標本館別館の TMU ギャラリーを活用し、松木日向緑地や自分たちの活動に関する展示企画を実施しようと準備を進めていましたが、結局実現しませんでした。
宮崎:大貫さんはいかがですか?
大貫:私も現在4年生で、作業療法学科に所属しているため、例年通りであればこの時期に病院で二か月間の実習があるはずでしたが、コロナの影響ですべて中止になりました。それがコロナの影響として一番大きいです。今はほとんどの時間を家で過ごしています。もちろんボランティア活動等も全てできていないので、家でできることをやっています。予定がない日が増えて生活リズムも変化していますね。
宮崎:藤井さんはいかがですか?
藤井:私は3年の後期から研究室配属になるので、今の時期は研究室訪問などをしている予定でした。しかし、対面での活動が難しいので、オンライン上で個別にやり取りをしなければいけないようなイレギュラーな状況です。サークルの方でもボランティア活動をする予定だったのですが、それも中止になってしまいました。私生活でも外出自粛などかなり制限がかかっていて不自由ですね。
宮崎:どのようなボランティア活動をする予定でしたか?
藤井:私は天体観測サークルに所属しているのですが、小学校で子どもたちに望遠鏡の使い方を教えてあげるような活動をする予定でした。しかし、活動自体に感染リスクもあるので、結局中止になってしまいました。

社会の変化をどう感じますか?現時点では何が出来ると思いますか?

宮崎:一人ひとりが色々な変化を感じていると思うのですが、もう少し視野を広くして、社会の変化について何か感じている部分はありますか?
石川:人との接触を極力避けなければならないということが、今の時代のスタンダードになっているような気がしています。ボランティア活動はどうしても人と密になることが多いですし、そもそも対面であることが前提となっている活動もあります。現時点では、そのような活動をすることができなくなっているなと感じています。対面で人とつながることができる環境を当たり前に考えていたので、このような状況が長引くことにより、その環境に自分が適用できるかどうか不安に思ってしまう部分もあります。仮に今のような状況が落ち着いたとしても感染症に対して敏感になってしまい、社会全体として人とリアルで会わないことがスタンダードになっていっちゃうのかなっていう気もしています。ふと何気ない会話をすることや誰かに寄り添うことのような、対面によってその効果や価値が深まる活動をしづらくなってしまうのは悲しいなと思いますね。
宮崎:そうですね。大貫さんはいかがですか?
大貫:家にいる時間が長いので、社会の変化を直接身に染みて感じるということはあまりありません。ただ、私は機械に弱いのですが、急に状況が変化したことで、私のように機械に弱い人には大変な社会になってきているのではないかと感じています。個人的な話なのですが、外で日用品以外の買い物に行きづらくなった時に、生まれて初めてネットショッピングを利用しましたが、手探り状態でした。
宮崎:ありがとうございます。藤井さんはいかがですか?
藤井:そうですね。私もあまり外に出ていないので、自分の実感としては薄いです。ただ、身近なこととしては、私の祖父がまだ現役で仕事をしているので、通勤であったり…そこまで勤務日数は多くないのですが、在宅勤務が多くなっていて、同じような状況の人がたくさんいるのではないかなと思っています。大きな環境の変化に対応できる人もいれば、できない人もいるのかなという心配もありますね。
宮崎:逆に何か良かったなと感じることはありますか?石川さんはいかがですか?
石川:常識を覆すほどの出来事が起こったことによって、常識を疑ったり考えたりするようになったかもしれません。学生コーディネーターの活動の中に、7月あたりに行っていた「ボランティア団体フェア“サマボラ!”」というイベントがあるのですが、この企画は毎年恒例になりつつあって、特に昨年は準備や当日の運営もしっかりやることができました。この企画を今年実施するとなった時のことを考えると、「昨年通りにやれば、何も考えずにうまく開催することができてしまった」だろうなと、正直に言うと、そう感じています。運営している側の「なぜやるか」という考えが企画に伴わないと表面的な企画になってしまう気がするので、もしそのようなことになってしまうのであれば、それは運営側としてはつまらない事だと思います。そのような意味では、コロナ禍だからこそ、新たに企画を行うときは「なぜやるのか」「今の状況で実施する必要があるのか」などを、より深く考えるようになりました。
宮崎:何か新たに企画されたのですか?
石川:学生コーディネーターの企画でいうと、「オンラインボランティア相談室 (633KB)Adobe PDF」という企画を実施しました。詳しくは、ボランティアセンターHPをご覧ください。
宮崎:大貫さんも同じように感じたことはありますか?
大貫:石川くんが言っている側面は確かにあると思います。あと、普段荒川キャンパスに通う私はみんなとキャンパスが異なるので、ミーティングに自分だけリモート参加をしていたのですが、コロナ禍では全員がリモートでの参加になったこともあり、いつもより皆と近くで活動できているように感じます。また、実家にいる時間が長くなったので、今だからできることを見付けてやるようになりましたね。
宮崎:ちなみに、どのようなことが「こんなときだからこそ」だと考えていますか?
大貫:料理をしたり、国家試験の勉強をしたりとか…新しい趣味の開拓?もしました。
宮崎:家族との仲も良くなったりなどはしましたか?
大貫:もともと会話は多い方なのですが、そうかもしれません。家にいる時間が長くなった分、家族との会話が増えて楽しいです。
藤井:私も何か新しいことに挑戦しやすくなったのかなと感じています。家にいることで自分と向き合う時間が増えたことが、今までとの違いなのかもしれません。サークルでの活動では、やはりオンラインでしなくてはいけないことが一気に増えました。特に、SNSでの発信に力を入れざるを得ない状況になったことで、新しいことに挑戦できているという実感もあり、そこに面白みがあると感じています。
宮崎:情報発信の機会などは増えましたか?
藤井:増えましたね。それにSNSでの活動が活発化したことで、情報発信に取り組むことが当たり前になっていることが、ハードルを下げ、有利な状況になっている部分があると思います。
宮崎:私たちなりにできることってあるのかもしれませんね。
大貫:うーん。PCとかスマホ等は色々な可能性を秘めているとは思うのですが、あまり知識がなくて。今回、学生コーディネーターのミーティング内で、今まで知らなかったツールを知ることもありました。なので、何ができるのかというと難しいですね。
藤井:そうですね。YouTubeのように動画作成や配信ができたらかなり面白いなと思いました。それ以外だと、まさに今の状況のように、リモートで簡単に参加して、話し合うことについては、これからもっと工夫ができるのではないかと思っています。
宮崎:具体的にどのようなことを考えていますが?
藤井:知らない人、匿名の方の参加がちょっと厳しいとは思うのですが、チャットなどを使って自由に参加できるような環境をつくることにも意義があるかもしれません。特に、ボランティアに興味があるけれど参加するにはまだ一歩踏み出せないなっていう人に対して、対面で話すよりも気楽に参加できるような新しい形式を生み出せるのではないかなと思います。ちょっと曖昧ですが 。
石川:先ほど発信という話がありましたが、皆さんの話を聞いてオンラインはポイントになるなと感じました。私たち大学生世代の若い人たちには、オンラインツールを使いこなせる人が多いと思うのですが、小さい子どもたちやその親世代、高齢者の方々は、自分たちよりも使いこなせてない人が多いという印象があります。ただ、コロナの影響で苦手な人も使いこなさなければいけない状況になっていることは、オンラインが普及するチャンスだなとも思います。多くの人がオンラインを使いこなせるようになると、例えば高齢者をはじめ多くの人が集うコミュニティカフェのような活動をオンラインで実施したり、子どもたちの活動学習支援をご家族の誰かにオンラインで繋いでもらって、勉強をみてあげたりといったことができるようになる可能性はあるのかなと思いました。
宮崎:そうですね。ありがとうございます。
 
後半へ続く