ボランティア座談会 Vol.2「ボランティアの始まりと今」(後編)

ボランティア座談会 Vol.2
「ボランティアの始まりと今」(後編)
ボランティアって何するの?
ボランティアと聞くと人それぞれ感じ方、捉え方が異なると思います。そこで、新入生や学生の皆さんにぜひボランティアについて知ってもらいたいという思いから、先輩学生コーディネーターにボランティアをはじめたきっかけや、やりがいなどを語ってもらいました。

登場人物(学生コーディネーター)

ボランティア座談会vol.1
※今回の座談会は、新型コロナウィルス感染症拡大防止の観点から、直接、顔を合わせて話すことができないため、オンライン(zoom)にて実施しました。

~今回は前回よりも踏み込んだ、ボランティアに対する思いを語ってもらいました~

Q1.ボランティアを続けようと思った理由は?

大貫:そうですね…自分が楽しいからというのと、やりがいを感じるから、でしょうか。
奥野:そうですね。やっぱり楽しいと続けたくなりますよね。石川さんはなぜですか?
石川:惰性的に続けている部分は正直あります。もちろんそれだけじゃなくて楽しいと思う時ももちろんあるし大変だと思うときもあります。うまく表せないけれど言葉悪く表すならなんとなく続けている感じです。 
奥野:でも継続できていることが素晴らしいです。
石川:そうですね。ボランティア活動って単純なものじゃないじゃないですか。あれをやったからこうなるみたいなものはあまりなくて、後になって振り返った時に、やっていてよかった、またはやらなきゃよかったと思うことが大半なんですよね。何が起こるかわからないから、それを楽しみに続けている感じですね。
奥野 : なるほど。とりあえず続けてみるというのもありですね。宮崎さんは?
宮崎:学習支援とかでは子どもとの関係性ができてくると続けていきたいなあと思います。辞めたいなぁと思うことは時々あるんですけど、「あ、でもあの子のこと気になるな」と思って行ってみるとその子がすごい嬉しそうな顔をして迎えてくれたりするんですよね。やっぱり会いに行きたくなっちゃいます。
奥野 : 誰かに喜ばれることって自分も嬉しいですもんね。

 

Q2. ボランティアを1回はした方が良い?

奥野 : 大貫さんはどう思いますか?
大貫:コーディネーターを始めた頃ならそう断言していましたね。でも今は、自分が好きだからオススメしたい、って気持ちです。
奥野:部活とかでも向き不向きはありますもんね。石川さんは?
石川:自分も人類みなボランティアした方がいいとは思わないです。もちろん自分はボランティアが良いものだと思っているからやっているわけですけど、他の人だったら他の事、例えば音楽好きな人だったらバンド活動するとか、物理が好きだったら物理の勉強をしまくるとか何でもいいと思うんですけど、その人が本当に価値があると思っているものをやればいいんじゃないかなと思っています。結局、どんなことでも本気でやっていれば回り回って社会や誰かのためになると思うので。けどその中の一つの選択肢としてボランティアに興味ある人に対しては応援したいなとは思っています。 
奥野 : 宮崎さんはどうですか?
宮崎:私も絶対やれとは全然思わないです。やりたいならやればいいし、それをサポートするのが私たち学生コーディネーターの役目かなって。結局その人がボランティアじゃないなって思ったらそれはそれでいいんじゃないって思います。でも、食わず嫌いみたいなのは勿体ないなって思います。
奥野 : そうですね。皆さん自発的に、かつ好きならぜひやってほしいと思いつつ、食わず嫌いのようにボランティアをやらないというのはもったいないですね。
 

Q3. ボランティアへの批判に対してどう思う?

奥野 : 石川さんはどう思いますか?
石川:自分は批判的なことを面と向かってはほとんど言われたことないですが、確かに「ボランティアは所詮自己満足だ」という意見もあると思います。しかし、そのボランティア活動に社会性があったかどうか、または自己満足だったかどうかは単純には判断できないと思います。ビジネスであれば金が稼げたらそれは価値のあることで、お金が稼げなかったら誰のニーズにも応えられなかったということで価値がない事になるじゃないですか。ビジネスだったら成果がわかりやすいけど、ボランティア活動は、そもそもビジネスにならない活動をやるわけで、つまり成果がわかりづらい物を扱っているわけです。その価値が分からない人には自己満足のように見えてしまうのは仕方のないことなのかもしれないですね。でも本当に広い視野を持っていて、いろんなことを考えられる人であれば自己満足とすぐには判断しないと思います。表面だけを見て「自己満足だ」と言うような人の話は耳傾けなくてもいいと思います。もちろん本当に活動が自己満足になっている可能性もあるので、そこのアンテナは張るべきだけど、意見を聞く人は選ぶべきです。
奥野 : 宮崎さんは?
宮崎:私は面と向かって言われたことはあります(笑)。「タダ働きで自己満足」とか「偽善」って。やりたくてやっているんだからタダでも良いでしょって思いますね。別にやらされているわけではないので。自己満足の場合も自己満足じゃない場合もあるし、それはやってみないと分からないことだと思います。成果はすぐ分かるものじゃないですし。あとは、自己満足になった活動が他の何かに繋がる可能性だってあると思っています。例えば、自己満足した人がその体験を基に出した研究の成果が社会の為になったりとか。それって結局社会に還元されているし、自己満足とは一概に言えなくなる気もします。
奥野:大貫さんも、面と向かって批判されたことはありますか?
大貫:私はないんですよ。“ボランティア=時間のある偉い子がやるもの”という感覚で、遠巻きにしている人もいるのかな、と感じるくらいです。自己満足、という視点では…少しズレた内容かもしれませんが、そもそも自己満足って必ずしもマイナスな言葉じゃないと思うんです。例えば、当事者からの反応がわからないボランティアって、“自分が満足できる活動だったか”という、ある意味自己満足で達成感等を得るしかない時もあると思っていて。そういう時は、“自己満足だとしてもいい活動だった!”って肯定的に捉えてもいいんじゃないかなと思います。
奥野 : なんか難しくなっちゃいましたね。でもボランティアに限らずとも、批判に囚われず自分がしたいことをすることが大切だなと思いました。
 

Q4.やる前とやった後のギャップは?

宮向 : みなさんどうですか?
石川:ボランティア活動を行う人って何かかっこいい人というか、すごい人がやるイメージがあったのですが、やってみたら意外とチャラい人とかもいたり、そこまで特別なものじゃないのかなとは思いました。
大貫:正直あんまりギャップはないです(笑)。強いて挙げるなら、参加し続ける中で、私個人の参加姿勢は変わったかもしれません。色々考えながら参加するようになりました。
宮崎:イメージを持って活動に参加することは殆どないんですけど、貧困世帯の子どもたちへの学習支援活動は参加してみて、「めっちゃ普通の子どもたちだな」と思いました。
宮向:新入生にとってはボランティア活動そのものについては分からないことだらけだと思うので、入る前に抱いたボランティアに対するイメージが入った後に大きく異なっていたのかどうかが経験者の話から分かれば活動に参加するかどうかの判断材料として使えるかもしれませんね。
 

Q5.社会人になったらボランティア活動をどう活かしたい?

石川:正直まだどういう仕事に就くか分からないし、どういう仕事に就きたいとかもあんまりイメージついていないんです。また、自分が経験してきたボランティア活動がどのようなものだったかもまだうまく言語化できてない部分があるので、それをどう活かすかについてもわからないです。ただ、今後何が起こるかわからないので、何が起きても対応できるような人にはなりたいと思いますね。それをボランティア活動を通じて学べたらいいなと思います。
宮崎:私の中ではボランティアとデザインがすごく近くにあるんですよね。どちらも、「誰かのため」のものなんですよ。だから、どんなものを作る時でもボランティアの経験って活かされていて、それはこれから社会人になっても変わらないだろうなって思います。
大貫:活動を通じて得た視野や視点が、活かせるかなと思います。私のキャンパスは医療系学生のみなので、限られたコミュニティで視野が狭まらないように、ボランティアに参加していた部分があります。活動を通じて色々な人と関わる中で得た視野・視点は強みになると思います。
奥野:宮向さん、皆さんありがとうございました。
では最後に、、

Q6.何故大学生でボランティアを選んだのかと最後のメッセージをお願いします!

大貫:始めたきっかけは一言でいうと、興味があったからです。大学生は、1番時間の使い方を自分で選べるので、そこで是非ボランティアを選んでみてほしいと思います。自分で興味をもって参加することに意味があると思っているので、1人でも多くの方に興味をもっていただければ嬉しいです。
宮崎:広い視野で物事を考えたかったからです。デザインの勉強をする中で、「自分が作ろうと思っているものが『本当に誰かのためになっているか』とか『誰かを傷つけていないか』」と考えることってかなり多いんですよね。でもこれってちゃんと社会と関わっていないとわからないことだなって思います。こんな感じで学問と繋がるところは大学生だからこそ可能なんだと思います。最後にメッセージは、戸惑っているのだったらやってみたら良いんじゃないかなって思います。
石川:自分が何故ボランティアを選んだのかは、本当にたまたま友達に誘われたからです。もし誘われていなかったら始めていなかったかもしれません。なので、最後のメッセージとしては、「何が起こるかわからない感じを楽しもう」です。バイトや仕事など多くのことはやることが決まっているし、起こる事って結構予想できたりすると思うんですね。でもボランティアってその活動自体が矛盾を孕んでいるものとかもあるし、いろんな当事者の方もいる中で何が起こるかわからない。こっちは良かれと思っているのにブチギレられたりすることもあるかもしれないし、一方でなんでもないことで、いきなり『ありがとう』って言われるかもしれない。予想できないものにこそ視野が広がるヒントもあると思うので、そういうのを大事にしつつ、楽しむのがいいのかなと思います。
奥野:ありがとうございます。3人とも違ったボランティアに対する思いがあることが知れました。ボランティアと聞くと人それぞれ違う感じ方がありますが、これからどう活動するか、取り組もうかというのが改めて考えられました。ボランティアに興味がない人にもぜひチャレンジしてほしいですね!

学生コーディネーターとは

 同じ学生の立場から、学生と地域をつなぐ活動を行っています。ボランティア活動を紹介したり、魅力を伝えたり、ボランティア活動に参加するためのきっかけづくりなど、ボランティアコーディネーター(職員)とともに都立大のボランティア活動の機運を高めるサポートをしています。
※学生コーディネーターに関する詳細はコチラをご覧ください。